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遺言書とは
遺言書の役割を簡単にまとめると、亡くなる前に被相続人が、遺言ができる内容についてきちんと遺言書を作成しておくことで、被相続人が理想とする相続を実現したり、相続人同士の争いを防いだりすることです。
遺言書の効果(注意点)とリスク
効果
・死後の遺産分割方法を指定することができるので、相続人同士の争いを防ぐことに繋がります。
注意点とリスク
・遺言能力のある人(満15歳以上で遺書を書いた時に判断能力がある人)以外は遺言できません。
・決められた手順に従って作成しなければいけません。
・法律で定められていること以外を書いても、遺言にはなりません。
・法律の知識がない人が作成してしまうと、相続人に必ず確保される一定の遺産をかえって減らしてしまうことがあります。
・遺言者が亡くなる前に相続人が亡くなってしまうと、その人への遺言は効果が無くなります。
・相続の内容によってはかえって相続人同士の争いを激しくしてしまうこともあります。
遺言できる4つの内容
遺言できる内容は大きく分けて4つあります。
1つ目は未成年後見人、未成年後見人監督の指定などの身分上の事項に関する事項です。
2つ目は相続に関する事項です。
3つ目は相続財産の処分に関する事項です。
4つ目は遺言執行に関する事項です。
遺言書の作成が特に必要な7つのケース
財産継承を考えている人に相続権がない場合
被相続人に内縁の配偶者がいる場合、内縁の配偶者は法律上の「配偶者」ではないため、相続権が認められていません。
また、被相続人の長男が先に亡くなっていて長男の嫁に被相続人が世話をしてもらっていた場合は、長男の嫁に相続権がないため、この嫁が財産を受け継ぐためには遺言書を作成する必要があります。
遺産が不動産のみの場合
不動産は法定相続分の割合に基づいて、相続人同士で共有となりますが、遺産のほとんどが不動産の場合、遺産分割協議の時に争いになりやすい傾向があります!
話し合いがまとまらない間の固定資産税の負担などでもめることが多いのです。
子がいない夫婦のみの場合
配偶者の一方が亡くなると、配偶者は、被相続人の親( 3分の1 )と、親が死亡している場合は被相続人の兄弟姉妹( 4分の1)と相続関係になります。しかし被相続人の親族との交流がない場合には円満な遺産分割協議が難しくなってしまいます。
配偶者の老後の生活の困窮を防ぐためにも遺言書の作成が必要であるといえます。
遺産分割協議が困難な関係にある場合
先妻との間に子がいて、後妻もいる事例では、先妻の子と後妻との間の協議は難しいでしょう。
また、正式には離婚していないものの別居中で婚姻関係が事実上破たんしている配偶者がいる場合で子がいないケースでは、被相続人の親または兄弟姉妹と配偶者の協議は難しいため、遺言書の作成により遺産分割協議を避けるのが良いでしょう。
法定相続の資格者に行方不明者がいる場合
遺産分割協議のさいに、行方不明者のために不在者財産管理人の選任などの手続きをしなければならないため、その報酬の負担や手続に長い時間がかかります。このような場合も遺言書の作成により遺産分割協議を避けるのが良いでしょう。
事業を承継する者に事業用財産を承継させたい場合
事業承継の途中に事業者が亡くなった場合に、承継する子とその兄弟姉妹で事業用財産を分割すると事業が成り立たない場合です。
法定相続の資格者がいない場合
相続財産管理人を選ぶ手続きに費用と時間がかかるため、遺言書を作成しておくのが良いでしょう。
手軽な自筆証書遺言も一つです
ここまで遺言書の概要やその必要性について説明してきましたが、遺言書の作成には費用がかかったり法的な手続きを要したりするため、なかなか大変なイメージがありますよね。
しかし遺言書には自筆証書遺言という遺言者が一人でも簡単に作成できる遺言もあります。(民法で定められた方式には従わなければなりません)自筆証書遺言は作成に費用もかかりません。また公的な遺言書とは違い、公証人や証人の関与が必要ではないため、遺言者は遺言書の作成の事実や遺言内容を秘密にしておくこともできます。
自筆証書遺言には多くのメリットがある一方で紛失や内容の改ざん、遺言書が発見されない可能性があるなどのリスクももちろんあります。
簡単な遺言書の一つの手段としてこのような方法もあるということを覚えておいて下さいね。
遺言書作成について
遺産相続トラブルを避けるためにも、特に遺言書の作成が必要な場合に当てはまった人はもちろん、そうではなかった人もぜひ適切な方法で遺言書の作成を検討してみてはいかがでしょうか?